2007,08,18, Saturday
ひねくれない教育日誌
このところ教育のことをまったく書いていない。
それで先日ある雑誌に書いた文をそのまま掲載する。 8月21日(火)に、埼玉大学で講演をすることになっているが、この文はその前提になる。 =================================== 学校教育法と学習指導要領 本年6月11日付けで「学校教育法の一部を改正する法律」が成立し、6月17日に公布された。これによって学校教育法の一部が「改正」された。この学校教育法の改正は、実は今後の教育課程や学習指導要領の改訂にとって重要な意味を持っている。 教育課程や学習指導要領の改訂と関わる部分は次の通りである。 旧「第20条 小学校の教科に関する事項は、第十七条及び第十八条の規定に従い、文部科学大臣が、これを定める」 新「第33条 小学校の教育課程に関する事項は、第二九条及び第三〇条の規程に従い、文部科学大臣が定める」 中学校や高等学校についても同様の変更があった。 わずかに「教科」が「教育課程」に変わっただけのように見えるが、実はこれは大きな変更である。 私たちは、よく「学習指導要領には法的拘束力がある」と言ってきた。この時に「法的拘束力」とは一体何を意味したのか。 「教科に関する事項は、文部(科学)大臣がこれを定める」という条文を根拠にして、文部(科学)省令である学校教育法施行規則において、教科名やその時間数が定められてきた。また、その学校教育法施行規則の中の「小学校の教育課程については、この節に定めるもののほか、教育課程の基準として文部科学大臣が別に公示する小学校学習指導要領によるものとする(中学校も同様)」という条文によって、学習指導要領の法的拘束性が保持されてきたのである。 ただし、「教科に関する事項」に関するこのような解釈に対して、異論も出されていた。 その一つは、文部科学大臣が決定することのできる「教科に関する事項」とは、教科の名称や時間数に過ぎないという説である。しかしながら、これまでの文部(科学)省はこのような説をとらず、教科名や教科の時間数のみならず、学習指導要領によって教科の内容や教科外の道徳や特別活動までも文部(科学)大臣の決定権の範囲としてきたのである。 今回の改訂では、「教科」を「教育課程」とすることで、先に述べたような異論の出てくる余地をなくし、学校教育全般に関して文部科学大臣や文部科学省の権限を拡大しようとしたものと考えられる。 今、この新しい法律のもとで、教育課程の改訂作業が、中央教育審議会の初等中等教育分科会の教育課程部会や各専門部会において進められている。少なくとも今年度中(来年3月まで)には、学校教育法施行規則と小中学校学習指導要領の改訂が行われそうである。そして、この新しい学習指導要領の法的拘束力は、これまでにもまして強力になるだろう。 この新しい教育課程や教科の内容が居酒屋の議論に引っ張られてはいけない。大きな関心を持って見守る必要がある。 ***************************** 音楽学習学会第3回研究発表会 講演「教育課程・学習指導要領と音楽学習」 講演者 弘前大学教育学部 吉田 孝 2007年8月21日(火曜日)10時30分〜12時 場 所 埼玉大学総合研究棟シアター教室 当日でも参加できるそうです。 ただし、あまり楽しい話ではありません。 弁舌さわやかでもありません。 私は講演はへたくそですので、覚悟して来てください。 ***************************** |
2007,08,18, Saturday
ワンパターン
なぜか、甲子園にきている選手はみんなこんな形の帽子をかぶっている。 別に目くじらをたてているわけではないのだが、何かおかしい(微笑)。 |