2006,10,31, Tuesday
賛美歌=校歌
広島県の呉市にある呉港(ごこう)高校におじゃました。今の時代に珍しく男子ばかりの学校である。
若い音楽の先生の授業を見せていただいた。パワーあふれる授業だった。 その授業では、発声練習をかねて、生徒が校歌を歌ってくれた。 その校歌、曲がなんと現在の賛美歌430番「いもせをちぎる」である。結婚式でよく歌われるあの賛美歌である(8月の沖縄のT氏の結婚式では、私はオルガンを弾いた)。この学校はキリスト教主義の学校でもない。むしろ正反対で、あの武田信玄を生んだ、武田家の流れを汲む学校である。 歌詞は、戦後改訂されたが、曲は戦前の昭和4年、大正中学と呼ばれていた時代に制定されたものらしい。いただいた学校史によると、学校長夫人で同校教師でもあり、さらに戦後初の女性代議士となる武田きよさんのたっての希望でこの歌に制定されたそうだ。 きよさんは、明治29年生まれ、山口高等女学校、「お茶の水女子高等師範学校」(校史にはこう書かれていたが「東京女子高等師範学校」の間違いではないか)の出身である。きよさんはクリスチャンではなかったようである。そうすると、この賛美歌のメロディーをどこで知ったか問題になる。校歌にするくらいだから、相当強い印象をもったのだろう。学校の授業で歌われていたとしたらこの曲の掲載された教科書があるはずだ。探求してみると、なにかおもしろいことがわかるかも知れない。 いずれにしても、我が国の唱歌教育は賛美歌と切っても切れない関係があるので、校歌が賛美歌であってもまったく不思議ではない。今の学校関係者の中には、この校歌に違和感をもつ方もいらっしゃるそうだが、むしろ日本の音楽教育の伝統が生き続けているとさえ言える。ずっと伝えていくほうがよい。 |